しきたり

以下に記すのは、調べねばわからぬようなバー文化の通念慣習に拠ってのことではございません。
凡そ大丈夫足り得る振る舞いの一例一端に過ぎないことであり、衆くのお客様に於かれましては、
全く当然のことかと背汗の至りではございますが、敢えてここに前書きとして記しますことによって、
店主自身への戒心として、深く肝銘することを目的としております。

弊方から以下の行為について、ご高配を賜りますよう、お願いにあがります。
一部、再三の要請へ従っていただけない場合は、当日含め今後の入店をお断りいたします。

1.歩行及び意思疎通が困難な程に、泥酔状態の方。
  万一ご転倒されますと危険ですので、階下或いはタクシーまで付き従います。
2.其の場の雰囲気に応じて、声量の調整を求められても応じられない方。
  他に誰もお客様がおられない場合は、存分にご歓飲下さい。
3.他のお客様への配慮として、状況に応じて話題を切り替えられない方。
  思想及び嗜好を韜晦することは至難ですが、この場に於いてはご寛恕の程お願い至します。
4.別席の方へ向けて、過度に会話を振る方。
  弊店は出会いの場ではありませんので、原則禁止ではございますが、
  状況によっては、お相手の心象をよく理解し、節度を保った会話をお願いいたします。
5.店舗従事者に対して、異様な程に高圧的な方。
  なにかご不快の点があることかと存じますが、一方的な弊方の手落ち過失を除く、
  様々な到底この場では処理できない不一致の積み重ねの結果だと推察します。
  其の場合、針筵のような居心地の悪い弊店でお過ごしになることは全くなく、
  一刻もはやいリフレッシュを、諸兄他店様にてなされることが弊方の望みです。
6.近隣及び他店様のご迷惑になる行為。
  不法な占拠占有、ゴミなどによる汚損、テナント共用部における度を超えた振る舞い、
  また諸兄他店に対する悪口雑言、その他一切の人倫に悖る反社会的行為を禁じます。

以上、万が一億が一の際は、どうぞご理解とご斟酌くださいまして、
お帰りいただきますとたいへん幸甚です。

Bobby’s 「お客様にお願いとバーについて」1986 2月著 複写 関係者配布 参考