徳島・大塚美術館 

一昨日と昨日、徳島に赴きました。
画像は鳴門海峡を臨む、大塚美術館の館内写真の一枚です。
私は写真に関して、技術がないとまったく自負していますが、しかし、そもそも美術館という施設に対して、
写真というものは恐らく、通常取り出されるものではありません。(日本国内では)

絵画というものは非常に保存が難しいものです。
高温多湿に弱く、まことにデリケートなもので、光の調度具合や、空気までもが考慮される、
また日本の湿度からくる特有の美術被害などもあり、
ある意味、日本の美術館は完備の上にある究極の美術品である、というと言いすぎでしょうか。

さて、大塚美術館の立地はというと、住所に浦という字が入ることからわかるように、
海岸に面した地点に居を構えています。
これは、美術館にとって不向きな、というより最悪な立地だと思えますが、
どっこい、こと大塚美術館という画期的な施設に限ってはその懸念は杞憂です。

まず第一に、大塚美術館はB3Fから2Fに至るまでの5層で形成されていますが、
美術品のほとんどは、構造上地下(山丘をくり抜いた形か)に所蔵されている点。
第二に、これは有名な話ですが、飾られている所蔵品の全ては、
いわゆるフェイクであり、本物は一点たりとてない。
そして、これがまた、ただのフェイクではない。
通常、美術品のフェイクといえば、同じカテゴリに収まるものです。
絵画であれば絵画、陶器であれば陶器。そこに相応の、悪意をこめて。
大塚美術館のフェイクは、当館の特殊技術によって、名画を陶器の板に焼き付けた陶板複製画といい、
それは原画と違い、風水害や火災などの災害や光による色彩の退行に非常に強く、
明記情報によれば、約2,000年以上にわたってそのままの色と形で残るといいます。
大塚美術館のフェイクには、善意しかありません。

この特徴は、写真撮影はさることながら、作品に直接手を触れることも可能という点に現れており、
まさに大塚美術館という存在が、ある種の美術品であることは疑うべくもありません。
さらに驚くべきことは、技術を集積してからこそ成し得る複製レベルの高さです。
参考原画に残っているのであろう風化痕や、修復前の擦れや傷なども、忠実に再現されています。
そしてその忠実さは、展示品の大きさは全て原寸大で顕しているという点にも表れています。
その完璧といえる再現の高さから、ルーヴルなどを始め海外の美術館からも作品の承認を得ているという、まさに全てにおいて、
「国際」美術館として、一見の価値ある美術館だとおもいます。

ただし、館内は驚嘆を禁じ得ないほど広いので、
訪れる方はそれなりの覚悟をもってたずねるべきです。
私は、半分もいかぬうちに足が棒になりました。

淡路島を前に上がる日の出。
そういえば、国産みの島が淡路島にあったのを、私は帰るときに思い出しました。
行きたかったなぁ。